• テキストサイズ

It’s a miracle!!!

第9章 あっという間に…


「…事実だが、そこまで否定しなくてもいいじゃないか。僕だって傷つくよ」

『…ごめんなさい。さ、次の質問をどうぞ』

征ちゃんはあたしの答えに納得がいかないようだったが、記者さんの質問が来ると、しっかりと答えていた。

記者「最後の全中ですね。どういうゲームにしたいですか?赤司君からお願いします」

「僕たちは僕たちのバスケをするだけだ。それ以上でも以下でもない。全員が全員、自分のプレイを行えば負ける要素はない」

記者「さ、さすが帝光の主将って感じですね…」

征ちゃんは変わってしまった。いや、もともと持っていた理念が浮き彫りになったのだ。絶対勝利という理念が。藍に頼んで帝光の試合を録画してもらった。そこに映っていたのは、個人技ばかりが目立ち、チームというものが存在しないバスケ。あたしが最も苦手とするバスケだった。

記者「では若槻さんはいかがですか?」

『あたしたちは…今まで通りのプレイをするだけです。一人一人が役目をもち、チームメイトを助ける。帝光の考えを否定するわけではありませんが、あたしは鈴城中全員で3連覇を成し遂げたいです』

記者「おぉ!同じ3連覇を目指す強豪校でもこんなにも意見が異なるものですね!では次ですが…」

隣の征ちゃんから物凄い視線を感じる。引き込まれるように征ちゃんの方を向くと、いつもの優しそうな征ちゃんの表情があった。そして小さな声で一言。

「やはり君は面白いよ、朱音」

征ちゃんの真っ直ぐな瞳と、真っ直ぐな言葉に照れてしまった。赤くなる顔を見られないように慌てて下を向く。征ちゃんは面白そうにクスクスと笑う。そしてレギュラー全員のインタビューは計2時間にも渡って終了した。

「朱音。少し話さないか」

『…うん。あたしもそう思ってた』

鈴城は藍、帝光は真ちゃんに少しだけ抜けることを伝えると、あたしと征ちゃんは人が来なさそうな場所、生徒会室に歩いて行った。
/ 483ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp