第9章 あっという間に…
あたしたちは3年生になった。入学式の挨拶も終わり、生徒会長としての役目も無事終了。部活も新入生をまたもや40名という大人数を迎え入れ、入学した当初からは考えられない大規模な集団と変わってしまった。今年は合同ではない鈴城祭も無事に終わり、予選も無事通過。茉実たちの実力もかなりのものとなり、あたしたちは過去最強の戦力を持って全中への切符を手に入れた。そして今日はIH前の月バス取材の日。互いに3連覇がかかっている鈴城と帝光のレギュラー陣は、合同でインタビューを行うことになっていた。会場は帝光の体育館。鈴城のレギュラーである茉実、凜子、捺美、優希、雅とマネージャーである藍。去年全中優勝をした時に全員がインタビューを経験していたため、緊張はしていないようだ。だけどあたしには問題が一つ。
「あ、朱音っち!久しぶりッス!どうして電話に出てくれないんスかぁー!寂しいッス!」
『ご、ごめんね?涼君。いろいろ忙しくて…』
「うるさいのだよ、黄瀬。すまないな、朱音」
「あ~、朱音ちんだ~!あれ~?シャンプー変えた~?」
『いいよ、真ちゃん。よく分かったね、あっ君』
「やぁ、朱音。僕からの電話に出れないほど忙しいのか?」
『う、うん…』
「朱音ちゃーん!会いたかったよー!ほら、青峰くんも!」
「…あぁ?朱音か。久しぶりだな」
『久しぶりだね…』
「大丈夫ですか?元気が無いようにも見えますが」
『大丈夫だよ。ありがとう、テツ君』
帝光の体育館に着くと、嫌でも目にするキセキの世代。その中でも特に会いたくなかった征ちゃんと大ちゃんと久しぶりに会話をし、ばれない様にそっと溜息をついた。