第9章 あっという間に…
『最後に。私たち在校生の思いを代表して、この言葉を送らせていただきます。私たちを引っ張ってくれて、道しるべになってくれて、見守ってくれて、助けてくれてありがとうございました。部活動でも、学校の生活内でも、常に先輩方は私たちの光でした。先輩方から受け継いだ光を絶やすことなく、私たちも前に進んでいきたいと思います。どうか、先輩方も自分の光を忘れないでください。本当にありがとうございました。在校生代表、生徒会長若槻朱音』
あたしがお辞儀をすると、会場からは拍手が溢れかえった。あたしの言葉が先輩たち全員の胸に届いたかは分からない。けど、ゼロではないと思う。自意識過剰かもしれないけど、何となく分かった。
卒業式も無事終わり、体育館ではプチ卒業式が行われていた。
汐音「朱音、今日の送辞、胸に響いたわ。私たち卒業生は、皆朱音が生徒会長で良かったって言ってた。自信持ちなさい!朱音はもう立派な主将で監督よ。私たちも朱音が引っ張ってくれたから後悔もなく引退出来たの。最後には優勝旗ももらえた。何より一番長く朱音と、ここにいる皆とバスケが出来た。私たちはそれだけで十分よ。本当にありがとう」
『汐音先輩…せんぱあああいいい!やっぱり卒業しないでくださああい…!』
汐音「馬鹿言わないの!大体送り出してくれたのは朱音でしょ?」
鼻をすする音と一緒に笑い声も聞こえる。
『先輩!最後に皆でゲームしましょう!』
汐音「私たち制服だけど!?」
茉実「気にしないでください!監督が言ってるんです、拒否権はないですよ!」
体育館にはいつものスキール音や掛け声の他に、笑い声も鳴り響いていた。あたしたちが汐音先輩たちと過ごしたのは、人生の中でほんの一部でしかあり得ない。けれどこの繋がりは人生の中でずっと続いていく。そう願って。