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It’s a miracle!!!

第8章 全中で


「…君が福岡に行ってどんな体験をしたのかは僕には分からない。だが君の言うことを黙って見過ごすわけにはいかないな。テツヤは大切な仲間であり、朱音は僕が一番愛する女性だ。その二人を傷つけることは僕が許さない。いくら命の恩人と大事な親友である君でもね」

有無を言わさないように威圧感を更に強くさせる。片岡は数歩後ずさった。そして震える声で必死に声を出した。

綾「…によ…何よ!皆して朱音、朱音って!そんなに朱音が凄いの!?私だって…私だって怪我さえしなきゃ朱音にだって負けないのに!いつもそう!私が必死に練習してやっと出来たことでさえ、朱音は少しの努力で簡単に出来ちゃうんだから!人見知りな私が頑張っていろんな子と話してやっと仲良くなっても、全員朱音に奪われた!初めて好きになった黒子君も!怪我をしてまで助けたのに、黒子君の眼には朱音しか映っていなかった!一番辛かったのは、何をしても常に朱音と比べられた!そんな朱音と仲良くいろってこと自体が無理な話なのよ!」

片岡は涙を流しながら叫んでいた。幸いこの場所には僕たち以外に誰もいなかった。おそらく朱音の耳にも届くことは無いだろう。彼女の言葉は、朱音にとって辛すぎる。

「君が朱音を気に食わないのは分かる。何より朱音は僕が認めた唯一の人だ。人間、誰しも好き嫌いはある。だが朱音は君のことを親友だと言った。好敵手だとも。君にはチャンスがある。バスケだ。その足が治れば正々堂々と戦える。その思いを、その屈辱をバスケでぶつけろ。それ以外で彼女に手を出すことは僕が許さない。朱音に手を出す奴は誰でも殺す。そのことを忘れるな」

体が強張った片岡を見て、踵を返したところで呼び止められる。

綾「っ赤司君!私…赤司君のことが好きになったみたいです!ここまで私に向き合ってくれる人なんていなかったから…いつか私がバスケも赤司君も朱音から奪ってみせます!覚悟しておいてください!」

…僕はどこで間違えたのだろうか。それでも僕の朱音への気持ちが変わることは無いし、朱音がバスケで負けるはずがない。深い溜息をつくと、真太郎たちが待っているバスへと急いで向かった。
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