第8章 全中で
桜蘭「あの!雑誌買いました!サインお願いします!あと写真も!」
「あー、ありがとうッス!けど俺達今日は観戦しに来たんでそういうのはちょっと…」
桜蘭「緑間君のプレー、すごく好きです!かっこいいです!握手してください!」
「なっ、なんなのだよ!」
桜蘭「あの、これ…よかったらもらってください!」
「あー、赤ちんが見知らぬ女の子からはいくらお菓子でも貰うなって言ったからダメ~」
桜蘭「青峰君!彼女いるんですか!?私、ずっとあなたのこと見てました!」
「はぁ!?ストーカーかよ…彼女はいねぇけど…」
桜蘭「その影の薄さも大好きです!かわいいです!」
「…僕に至っては全く褒められてませんけど」
桜蘭「赤司様!私に何なりとご命令を!」
「悪いが僕にはそういう趣味はない」
とにかくもう凄かった。彼等がモテるのは知っていたけど、まさかここまでとは。あたしたち鈴城はかろうじて逃げることに成功した。茉実たちと顔を合わせ、苦笑していると目の前に影が差した。顔を上げると白河さんがいた。
白河「…どういうつもり?キセキの世代をここに呼んだりして…自慢でもしたかったわけ?」
茉実「はぁ?私達が何であいつらを呼ばなきゃなんないわけ?」
藍「むしろ迷惑してるっての」
優希「それに何の自慢?今の発言、あなたも彼等目当てのただのミーハーってことになるけど?」
優希の言葉に、今まで強気だった白河さんの表情が崩れた。そして再び視線はあたしを捉える。…あたし何も言ってないのに。けれどあたしはこのチームをまとめる者。言いたいことはある。立って白河さんと目線を合わせる。
『…ごめんなさい、白河さん。皆も試合前にここまで煩く騒がれて、集中力を切られてしまったから気が立ってるの。あなたがどう思うかは勝手だけど、文句があるなら試合で聞くから。今は引いてちょうだい』
白河さんはそれが気に食わなかったのか、舌打ちをするとあたしに詰め寄り掌を振り上げた。