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It’s a miracle!!!

第8章 全中で


体育館を出ると、ずっと会いたかった朱音が見えた。隣の体育館で開催されるということは知っていた。だからいつか会えると思っていた。会えなくても時間が空けば朱音の試合を見に行こうとさえ。それがこんなにも早く会えたのだ。僕の心臓はこれでもないくらい動いていた。久しぶりに聞く朱音の声は相変わらず心地良い。だがそんな僕の貴重な時間も真太郎たちの言葉で簡単に壊された。

僕が我慢していたのに、真太郎たちは彼女と連絡を取っていた。彼女と繋がっていた。僕と同じ立場にいる彼女が忙しいことは百も承知。だからこそ連絡をしなかった。そして彼女からも来なかった。僕はそれを仕方がないと思い込み我慢したのだ。それなのに…

「甘やかさないでくれ、朱音。君の貴重な時間を彼らに使ったことは事実だ。お前たちも。朱音は自分のバスケに裂く時間以上にチームに裂く時間もあるんだ。そんな私情で…」

茉実「赤司君さ、私がしたこの間の質問の答え、本物だったの?」

確か彼女は神守茉実。桃井の情報によれば朱音の一番の親友だ。神守が言っている質問というのは、この間の帝城祭での本当に朱音のことが好きか、本当に朱音のことを幸せに出来るかということ。当たり前だ、確認するまでもない。そのことを伝えれば盛大に溜息をつかれた。

茉実「あのね、赤司君。それが本当だったらもっと積極的になっていいんだよ。あなたがしていることは、ただ逃げることだけ。嫌われたくないって一心だけ。彼等みたいに自分を売っていかなきゃ、絶対に振り向かないよ。そんなに簡単な女じゃないし、あなたみたいなへなちょこに渡す気だってないから」

凜子「うわー、茉実ってばストレートすぎ。ま、でも私も思うことは一緒かな。要は私たちはね、私たちの大好きな子をそんな軽い人間だって思われたことが腹立ってるんだよ」

彼女たちの眼から伝わってくる朱音への思い。そして真太郎たちからの挑戦的な視線。本来ならそんなことは許さないが、こればかりは言い返す資格も無い。1人だけ意味が分かっていない朱音を見て、口元の力を抜いた。
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