第7章 文化祭という名の…
「…引き分け、か。なら勝負はお預けだな。…朱音、さっきは酷いことを言ってすまなかった」
『気にしないで。それが征ちゃんの答えなんでしょ?ならあたしは何も言わないよ。それじゃ、ダメ?』
「!…全く、君には本当に敵わないな」
征ちゃんの眼は、いつもの優しいモノに戻っていた。そしてあたしの意識は遠のいていった。心配そうな征ちゃんを最後に写して。
目が覚めた場所は見たことのない場所だった。試合に終わって、その後どうしたんだっけ。ふと足の方に重みを感じて見ると、見慣れた赤髪があった。体を起こそうと力を込めると、全身に激痛が走った。まるで全身筋肉痛のような痛み。小さく呻き声が出てしまい、慌てて口元を抑えるがもう遅かったみたいだ。もぞもぞと征ちゃんが起きてしまった。
『ごめん、起こしちゃった?』
「問題ない。体の方は大丈夫か?」
『全身筋肉痛、かな』
困ったように笑うと、征ちゃんは安心したように笑った。
「ゾーンは極限の集中状態を伴う。普段意識していない筋肉にも負荷をかけてしまったせいだ。今日と明日は安静が必要だぞ」
『ありがとう。ところで帝城祭は?もう終わっちゃった?』
「今は後夜祭だ。涼太と綾瀬さんのミスミスター帝城にダンスについては任せてある」
『そうなんだ…って違う!何で征ちゃんはここにいるの!?』
「朱音がいないのに出る必要がない。それより、今日は本当にすまなかった。いくら興奮していたとは言え、君に暴言を…」
『ストップ』
あたしは征ちゃんの言葉を遮った。