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It’s a miracle!!!

第7章 文化祭という名の…


「その通りだよ。さすがは朱音、本当に君には驚かされるよ。だが僕には勝てない。いくら早く動いても、僕には全て見える」

思った通りだ。征ちゃんは相手の未来が見える。あの眼はどんな些細な動きも逃さず見透かす。呼吸、心拍、汗、筋肉の収縮、相手の全てを。これならアンクルブレイクを容易く起こすのにも、トリプルスレットから次の動作を認識するのも合点がいく。

これが征ちゃん…いや、帝光中主将、キセキの世代赤司征十郎…

こんな相手に勝てるだろうか。嫌な想像が頭を支配しそうになる。が、ぎりぎりで振り払う。すると会場から歓声があがる。何事かと視線を移せば、茉実がついに真ちゃんをバッチリ捉えた。もともとジャンプ時にかかる時間が短い茉実。あたしが見つけたタイミングで飛ぶことが出来れば、真ちゃんを止めることは可能だった。これは茉実だからこそ出来る技。

茉実「何そんな表情してんの!朱音は赤司を倒すことだけ考えなさい!」

『茉実…』

茉実「私たちはいつも朱音に助けてもらってきた。試合でも、練習でも、いつでも。だから今くらい、私たちに頼りなさい。私たちが今朱音の役に立てるなら、今恩返しがしたいの!朱音が納得いくまでね。私たちは、いつでも朱音の味方だから」

走っていく茉実の背中が眩しかった。そして周りを見る。凜子、優希、捺美、藍。そして皆。チームのためになんて言っておきながら、あたしはチームを見れてなかった。あたしが頑張らなきゃと、一人で気張ってた。

あたしは眼に浮かんだ涙をグイッと拭うと、走り出した。

「てっきり諦めたかと思ったよ、朱音」

『征ちゃん、貴方は勝つことが全てだと言った。けどあたしはそうは思わない。負けて良いとは思わないけど、勝利より大切なものはたくさんある』

「…それが君の答えか?」

『うん。いつかあたしは貴方に言った。もし意見が分かれる時には貴方と対等な立場で意見を通したいって。もし貴方がまだあたしのことを対等って思ってくれてるなら、あたしと勝負してください』

「…朱音、勘違いしているよ。確かに僕は朱音の意見には納得いかない。それに君を殺すとまで言った。だが君のことは認めている。故の選択だ。僕は君に勝って、君を僕の隣に置きたい。だからその勝負、喜んで受けてたとう」
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