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It’s a miracle!!!

第7章 文化祭という名の…


コートに入るとあたしは大ちゃんではなく、テツ君の前に立つ。

「…驚きました。まさか朱音さんが僕の相手だなんて、光栄です」

『テツ君とこんな風に戦う時がくるなんてね。負けないよ』

絶対に負けられない。あたしはテツ君に視線を向ける。そしてやっぱりいつの間にか消えていた。気が付くと目の前からテツ君の姿は消えている。何回も、何回でも消える。まるであたしをあざ笑うかのように。いつの間にか点差は12点に開いていた。テツ君から目を離してはいけないという思いが、あたしを焦らした。

「いくら朱音でもテツヤのカラクリにはお手上げか?」

征ちゃんがニヤリと笑う。落ち着け。焦っても何も利点は無い。目を離さずに、テツ君だけを見て。…テツ君だけを見て?あたしはハッとなった。そうだ、何で気が付かなかったのか。征ちゃんが言った通り、あたしはテツ君のカラクリに見事にはまってしまっていた。ミスディレクションというカラクリに。

早速実践してみる。ミスディレクション、つまり視線誘導。あたしはテツ君を見よう見ようとするあまり、視界が狭まっていた。まるで一点だけスポットライトが当たっているかのように。今度は視界を広くとる。テツ君ではなく、周りを見る。大ちゃんが動く。見えた。テツ君にパスが渡ると、あたしも動く。テツ君と大ちゃんの間に。

「「「「「!?」」」」」

パスコースが分かれば後はスティールを成功させるだけ。茫然となっている帝光のコートをあたしは駆け抜けた。すかさず征ちゃんがTOを要求する。ベンチに戻ったあたしは、パスの秘密を皆に伝えた。皆は驚いた様だったが、どうやら理解したみたいだった。TOが終了し、テツ君を一度引っ込めると思ったが、そのまま出してきた。第2Q残り2分。あたしがテツ君に苦戦している間に広がった点差は16点。このままで行くと征ちゃんが判断したのだろう。あたしはテツ君のマークを凜子と代わった。
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