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It’s a miracle!!!

第7章 文化祭という名の…


ゴール下には最後の砦、あっ君がいる。あたしに標準を合わせてタイミングを図っている。ここでいろいろな選択肢が生まれるが、ここで行うことは一つしかない。

「敦!」

征ちゃんには分かったのか、あっ君を呼び、指示を伝えようとする。が、追いつかせない。フリースローラインから踏み込み、リングに向かって片手にボールを乗せる。あっ君があたしのやろうとしていることに気付き高く飛ぶが、あたしはお構いなしにそのままボールをリングに叩き入れた。

生徒「レ、レーンアップ!?しかも女の子が紫原を相手に!?」

生徒「ビデオ撮っとけ!凄いモンが見れるぞ!」

ざわめき出す会場。他校の偵察もいるのか、そんな声が聞こえた。DFに向けてハーフラインまで下がりながら皆の顔を見る。得点をされてから強張っていた皆の顔が、いつもの顔に戻った。そして途中で征ちゃんにすれ違う。

「…やはり君は最高だよ、朱音」

その際に発せられた言葉に、あたしはニヤリと笑ってみせた。そしてそのまま大ちゃんのマークに戻る。

「オイオイ、まじかよ。やっぱすげーな、朱音」

『今は敵同士ってこと、忘れないでよね?』

本来の動きを取り戻した茉実たち。そう簡単には抜かれないし、皆も自分の良さをしっかり引き出して、得点を重ねていた。本来はPGのあたしも、積極的にシュートを狙い、得点差は2点差、残り時間は3分だった。ここでブザーが鳴る。

審判「帝光中メンバーチェンジ」

涼君が抜け、テツ君が入る。

「悪ィ、テツ。予想はしてたけど、やっぱ朱音を振り払うのは難しい」

「今まで青峰君を抑えられてしまい、得点が伸びませんでした。なので最初から本気でいかせてもらいます」

『…クスッ。やれるものならやってみなさい』

テツ君のプレースタイルは藍から聞いている。ミスディレクション。視線誘導を取り込み、元からの影の薄さを活かしパスの中継役になる、やっかいな技。
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