第3章 Don't Sugar Less! 【分隊長×104期生】
お昼時を少し過ぎた頃。
研究室まで駆けてくるのは私の恋人だ。
ぱたぱたと鳴る足音が愛しくて、つい頬が緩んでしまう。
ノックを待たずに扉を開けると、四角い包みを携えたが驚いたようにこちらを見た。
「びっ…くりした…!
今からお出かけですか?
おいしいお菓子を持ってきたんですけど…」
「いや、が来る音が聞こえたからね」
私がそういうと、ぱあっと彼女の顔が輝く。
「よかった!
今日はバターたっぷりずっしりのパウンドケーキです!」
溢れる喜びを隠さない。
その様子があまりにも素直で、
つい遊んでみたくなってしまう。
「またそんな重たいものを…太るよ?」
…一瞬、もしくは途方もなく長い静けさ。
まずいと悟った時にはもう遅かった。
先ほどの笑顔はどこへやら、
はじっとりと私を睨み、口を開く。
「別にいいもん…
もうハンジさんにはあげません。
サシャと兵長とお茶会開いてやる!」
待って、どうしてそこでリヴァイなんだ。
美味しい紅茶くらい私だって淹れられる…多分。
「…ごめん、悪かった!
あなたは太ってもかわいいよ」
「~~っそういうことじゃな…いひゃあ」
怒っている様子が愛らしくて、膨れた頬をふにふにとつぶしてやる。
でも確かに…最近ふっくらしてきた気がするな。
他でもない彼女だ。
どんな姿でもかわいいことに変わりはないけれど、
立体機動の動きに支障が出てはいけない。
「な、なんえふは…」
私はつまんだ部分を優しく離す。
「、食べる前に少し運動しよう。
私と一緒に!さあ!」
「うええ…?でも、ケーキが湿気ちゃ」
「少しだけ我慢だ。できるね?」
顎を持ち上げ、じっと目を合わせた。
この子が私の顔に弱いことは知っている。
あーあ、真っ赤になっちゃって…
「う…っ
わかり、ました」
「そうこなくちゃ」
どぎまぎと頷くの手を引いて、
訓練所に飛び出した。