第13章 Dreamcatcher 【??×社会人夢主】
早く私に会いに来て。でないと、もう
「あなたがいないと、生きていけない……!」
目覚めると左手が熱かった。
熱くて、抱きしめられた感触も、ここにある。なのにあなたはいない。
私はやけに醒めた頭で昨夜の夢を思い出そうとするけれど、砂の城が波にさらわれるようにぼろぼろと崩れていく。その先には何も残らない。不思議と、もう永遠にあの人に会えない気がした。
やめて、いかないで、私はすがるように目をとじる。
もう一度眠りたい。まだ名前も知らないあのひとの姿がこんなに恋しかった。
最後に言ったわがままであなたはどんな顔をしたんだっけ。あなたのこと、まだなにも知らない。
私は、左手と同じくらい熱い涙をちぎりながら、ベッドのなかで体を丸めた。
インターホンの音も聞こえないくらいに。
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本誌の展開に呑まれてしまって、ずっとふわふわしていたのですが、やっと物を書く気が起きました。
久々なのに糖度低めですみません…
読んで下さっている方がいると思うと幸せです。ほんとうにありがとうございます!
べりる