Beloved villains 〖ツイステ短編集〗
第1章 フロイドと喧嘩するお話
ある日のナイトレイブンカレッジ
ナギはお昼休みに中庭でゆっくりと休んでいた
今日はいつも一緒にいるエースは錬金術の補習、デュースは部活の集まり、監督生はグリムと一緒に図書館へ行っているようだ。
『はぁ〜、いい天気だなぁ.........。このまま寝ちゃいそう...』
暖かい日差しに瞼が重くなる
瞳が閉じようとした時、声が聞こえた。
「あれぇ〜?クリオネちゃん??こんなところでぇ、なにしてるのぉ??」
『わっ、フロイド先輩!びっくりした...。お昼食べたら眠くなっちゃって』
声をかけられ、振り向いたら恋人のフロイド・リーチ先輩だった
「あはっ、驚いてるクリオネちゃんか〜わいい〜」
私の彼氏であるこのフロイド先輩は、時々こうやって私が照れるようなことを平然とした顔で言ってのけるのだ
『う、うれしいです、ありがとうございますっ』
可愛いとか偉いねとか、フロイド先輩は私が喜ぶ言葉を言ってくれるけどなかなか慣れなくて顔が赤くなってしまう
「顔、赤くなってる〜可愛すぎ〜、ね、ちゅーしよ??」
『へっ!?!?ふ、フロイドせんぱい!?』
思ってもいなかった一言にさらに顔が赤くなってしまう
段々と近づいてくる綺麗なフロイド先輩の顔
『ま、まって、みんな、見てるから...っ』
唇と唇まであと数センチ......
「あっ、小エビちゃんじゃ〜ん!おーい!小エビちゃ〜ん!!」
...........えっ??
恥ずかしながらも期待して待っていたのに、フロイド先輩は監督生を見つけるや否や私を放置して走って行ってしまった
『(また、今日もダメだった)』
こういうことをされるのは今回だけじゃない。
先日もモストロラウンジに招待された際、お客さんとして来ていた監督生に付きっきり、わたしはずっと放置だった。
フロイド先輩と放課後デートしている時も、監督生を見つけたらすぐ飛んで行ってしまう
つまるところ、私はフロイド先輩にキスもされていないし、その先もされていない。
思えば、私はフロイド先輩に名前というものを呼ばれたことがない
『(フロイド先輩は、本当に私のことが好きなの...かな.....?)』