第1章 転校初日から
私立すとぷり学園。私立と言っても、普通科ではなく総合学科である。自分でカリキュラムを選択していく超有名私立高校である。
私は両親の転勤で、この学校に転入することになった。
どんな学校なのか、緊張しながら校門を通っていた。
「るぅとくん!ななもりくん!許してくれ!」
目の前では、教師と思われる男性が泣き崩れながら叫んでいる。男性を見下す六人の少年達が放つ空気は恐ろしいものだった。
「許さない。いじめを無視してるなんて教師の恥だよ。ねぇ、なーくん?」
「そうだよね。もちろん、いじめっ子も追放処分。先生も当然の処分なんだよ。まだ他の学校で仕事させてもらえる権利を残したから大丈夫でしょ?」
金髪のような可愛い男の子と、サングラスを掛けて黒いパーカーを羽織っている男の子が、その教師に追い討ちを掛けた。
「さすが、るぅと会長とな組だよなぁ。マジで怖ぇ……」
遠巻きで見ている生徒の会話が耳に入った。そんなに恐れられる生徒なのか。
「そこどいて」
遠巻きの生徒の会話を聞き取ろうとしていると、目の前には先程の男の子達が居た。
「るぅとくん、それは良くないよ」
な組と言われてた男の子はサングラスを外して言った。どうやら、先程の発言はるぅと会長と呼ばれてた人のものらしい。
「見慣れない顔ですね。もしかして、本日転入する転校生ですか?」
犬耳を生やした男の子が礼儀正しく話し掛けてきた。私は縦に首を振った。
「へぇー、転校生ねぇ……今日の高等部会に見学させてあげるよ」
るぅと会長がそう言った。私は眉間に皺を寄せた。
「良かったな、普通の生徒は行きたくても行けないからな」
ピンク色の髪をした男の子が言った。この学校、どうなってんの?
「なーくん、俺たち自己紹介してないじゃん。それじゃ、信用もされへんよ」