Second reincarnation【ツイステ】
第30章 堕ちる
「いつもしつこいくらい諦めが悪いのに、随分と素直に従っているじゃありませんか」
水柱が黒いドロドロを貫いて何本も出現する
その勢いでレイはオレと距離を取った
四つん這いの状態で、唯一自由のきく首を動かして背後を見ると、そこにはオクタヴィネル寮長であるアズールが立っていた
「大体の状況は読めます。ここに来るまでに何人かの生徒が行方不明になっていることも調査済みです…レイさん、馬鹿なことはおやめなさい」
「無理やり魔力を摂取させたとしてもシロさんが人間に戻れる可能性なんてありませんし」
「…ジェイド…」
腕を掴まれたと思ったら、魔法を使って黒いドロドロから引き剥がしてくれた
そのまま数歩後ろに引っ張られる
「小エビちゃん…ちゃんとオレらと話し合おうよ」
「……話し合って…どうなるんですか。アズール先輩たちが…兄を生き返らせてくれるんですか?」
「それは…不可能です。どんな方法を使っても死者は蘇りません」
「じゃあ…!私が試す方法を止めないでください!…私はただ…ただ、兄に生きていて欲しかっただけなのに…」
そう言って、ワンピースの裾をギュッと握る
…レイの中で…オレの存在は、そんなにも大きかったのか
オレさえ死ななければこんなことには…ならなかったかもしれない
「兄を返して。…私を…これ以上…止めないで」
「これは、多少手荒になっても仕方がない状況ですね…」
「…しかも周りの生徒たち…レイさんのユニーク魔法の効果で操られたままです」
「これだけの人数を意のままに操る…ここまでレイさんのユニーク魔法が強力なものとは。かなり優秀な魔法士になり得たかもしれませんね」
そう言ってアズールは杖を、ジェイドはマジカルペンを構える
そんな中、フロイドだけは少し寂しそうな様子でレイのことを眺めていた