Second reincarnation【ツイステ】
第29章 本当の世界
現にこの病室には私しかいない
少し歩き回ったけど、同じ苗字の患者は近くにいなかった
わかってたつもりだった
でも、やっぱり…つらい
また涙が溢れそうになって、その場にしゃがみ込んで蹲る
今この場にはフロイド先輩もいないし、兄も先輩たちもいない。同級生だっていない
私がいくら寂しいといっても慰めて心配してくれる存在がいない
それが、どれ程心細いか痛いほど痛感する
「どうすればよかったんだろう…」
眠っている私以外誰もいない病室で、誰にも届かない独り言が響く
卒業式の前日、兄に我儘を言った
見にきて欲しいって…どうせ、両親は仕事で来れないから…って
兄も学校があったけど、その日はズル休みしてわざわざ私の卒業式に出席してくれて…そのまま一緒に帰った
その帰り道にあの事故
…兄が死んだのは…私のせいだ
唯一の心の拠り所だった大切な存在を失った焦燥感を今更味わう
涙が止まらないし、泣きすぎて頭も痛くなってきた
あの時我儘を言わなければ、兄はあの道を通らなかったかもしれない
死ぬのは私だったかもしれない
たくさん、たくさんそんな考えが浮かんでは消えてを繰り返す
それなのに…一緒に帰りたいだなんて言ったら…
それこそ兄に嫌われてしまうかもしれない
兄はもうこっちの世界で生きてる
アズール先輩たちと一緒なら、多分卒業後もどうにかなるはずだ…死人の理解もある
なら私はきっと、何も駄々をこねずにさっさとこっちの世界に帰った方がいいに決まってる
「…ごめんなさい…お兄ちゃん…」
蹲って、周りの景色を全て閉ざしていて気づかなかった
いつのまにか私の周りの床には、黒い水たまりが広がっていたことに