Second reincarnation【ツイステ】
第25章 毒をも喰らわば
「正気か?これには毒が入ってるんだぞ」
「オレ毒は効かないんだ。だから大丈夫大丈夫…仮にそれで死んでも誰もジャミルのこと咎めないから」
「…どうなっても知らないぞ…」
「本当に大丈夫だって。……ん!味は美味いな!」
魔法で毒をかけてるせいか味に変なところはない
たぶん、ジャミル伝いにカリムに差し入れだ。みたいな感じで渡してきたんだろうけど…
残念ながらクッキーは全部オレの胃の中だ
終始ジャミルにものすごい怪訝な眼差しで見られてたけど、毒は本当に効かない…というか死体に今更毒物とか意味ない
それ系関連で、美味しいけど毒キノコっていう食べられないキノコを食べてたらジェイドにめちゃくちゃ嫉妬されたこともあったな…
魔力のあるキノコなんてご褒美でしかないから、喜んで食べてたけど…
まさか食べ終わった後に毒キノコだって言われるとは思わなかったからジェイドもジェイドだ
「…どうやら本当に効かないみたいだな」
「言ったろ?…あ、またそういうの処理するってなったらオレにくれよ。こういう毒系魔法が付与されてるのは好物なんだ」
「…何度も言わせてもらうが…正気か?」
「何ならありとあらゆる毒薬を盛ってくれてもいいぜ」
「前々からこの学園にはおかしな奴が多いとは思っていたが…俺の目は確かだったようだ」
「否定はしないけど…まぁそんな落ち込むなって…」
あからさまにげんなりとした顔をするジャミルに、そんな言葉しかかけれなくてオロオロとしてしまう
気がついた頃には更衣室にいる生徒はまばらになっていた
まぁさっきの最期の授業だし、みんな早く寮に戻って休みたいだろう
更衣室を出て、ジャミルとの別れ際に軽く手を振る
「じゃあなジャミル。クッキーありがと」
「あんなものにお礼を言わないでくれ……拾い食いとかするなよ」
「落ちてるものは流石に喰わねぇよ!」
ははは、と笑いながら去っていくジャミルにそう言って、オレも真反対の道を歩く
今日はラウンジの開店日だ
いつも通り卒なくこなそう
今日も至って普通の平和な1日がすぎていく