Second reincarnation【ツイステ】
第22章 虫の知らせ
「ここに、シロさんは来ましたか?」
「クリオネちゃん?来てないけど…何でそんな慌ててんの?ジェイド」
「……いえ、何でもありません。…もし一時間程して僕から連絡がなかったら、フロイド一人で東校舎裏に来てくれますか」
「は、はぁ?何急に…あ、おいジェイド…!」
…私と目が合って…ジェイド先輩、何かを隠した…?
私がいると話せないことでも起こったのかな…
なんだか途端に不穏な空気が流れてきたので、急いで机に広げた本を片付ける
「…フロイド先輩、ジェイド先輩を追ってください」
「は?小エビちゃんを置いて行けるわけないじゃん」
「私なら、部屋に鍵をかけて今日はもう戻りますから。…私がいたら話せない事が起こったんですよね?先輩たちのこと、見てたらわかりますよ」
そう言って微笑む
…と、少しだけ罰が悪そうにフロイド先輩は視線を逸らした
どうやら正解だったみたい
「その代わり、落ち着いたら少しでもいいので教えてくださいね」
「…わかった。でも部屋までは送ってく。ジェイド追いかけんのはそのあと」
「じゃあ…お言葉に甘えて」
先輩たちはたまに、私に嘘をつく
全然大丈夫じゃないときも、大丈夫っていうし
危ないときだって、大丈夫っていう
トラブルが起きても、大丈夫…
そんなことばかりだから、先輩たちの上手な嘘もすっかり見破れるようになってしまった
部屋まで送ってくれたフロイド先輩に、手を振って「おやすみなさい」を言う
何でもないように取り繕ってたんだろうけど…
別れて部屋に入ったあと、ほんの少しだけ扉を開けて廊下を見ると、フロイド先輩の背中はすごくすごく小さくなってた
…どうか明日
先輩たちと笑っておはようが言えますように
そう祈って、胸騒ぎがする心を何とか落ち着かせて、私は布団に潜り込んだ