第21章 ー林間合宿ー
バスに乗って約1時間ーー
停車した場所で降りるとパーキングではなく
山道の展望台らしき開けたところだった
「あれアレ?B組は?」
「おしっこ……」
「何の目的もなくでは意味が薄いからな」
相澤先生の意味深な言葉の後
彼のヒーロー名を呼ぶ声と共に現れた女性達
なんでも今回の林間合宿でお世話になる
プロヒーロー"プッシーキャッツ"
そして2人はそのメンバーの一員らしい
「ここら一帯は私らの所有地なんだけどね
あんたらの宿泊施設はあの山の麓ね!」
その内の一人が指さした方角は
遥遠くでバスでも数時間はかかる場所だった
「え…?じゃあ何でこんな半端な所に……」
「バス…戻ろうか……な?早く…」
明らかな不穏な空気に皆も気付いたのか
次々にバスの方へと寄っていく……
「今はAM9:30…早ければぁ12時前後かしらん」
「バスに戻れ!早く!」
ちょうど隣に居た鋭児郎の声につられて
私もバスの方へ戻ろうと走り出すが
「悪いね、諸君…合宿はもう始まってる」
その相澤先生の声と共に
地面が波のように畝り呑み込まれる
そしてそのまま崖下へと流れ落ちた
『げほっ…土食べた…うぇ』
「…土食うとかダッセェな、クソチビ」
飲み込まれた際に口に入った土を吐いてると
勝己に馬鹿にしたように鼻で笑われた
(バカツキの癖に〜!!!)
「私有地につき個性の使用は自由だよ!
今から3時間!自分の足で施設までおいでませ!
この……"魔獣の森"を抜けて!!」
勝己の背に無言の圧をかけていると
上からプッシーキャッツのそんな声が聞こえる
「"魔獣の森"……?」
「なんだそのドラクエめいた名称は……」
いやほんとにその通りだ
この世界に魔獣なんてものいるわけが無い
でもソレはトイレをずっと我慢して一足先に
森へと走っていった峯田君の前に現れたーー