第19章 ー本当の気持ちー
「逃げんな…こっち見ろ」
彼の方を向かされ目が合ってしまう
オッドアイの綺麗な彼の瞳ーー
「椿紗…俺が好きなのはお前だ」
『ツッ?!…』
あの日感じたものーー
勘違いなんかじゃなかった彼の気持ち
それを真正面からぶつけられてしまった
「お前は俺のことどう思ってんだ」
轟君の事は嫌いじゃない
好きだけどそれが恋愛的な意味なのか
まだ私にはよく分からないーー
『私、は……轟君に応えれない』
精一杯…そう伝えると掴まれた腕が離された
「わりぃ…そうだよな
お前にはやる事があるもんな」
『…ごめん、なさい』
「いいんだ…そろそろ帰るな」
ただ謝る事しか出来ない私に
彼は優しく微笑むと暗闇へと消えていく
1人公園に残った私はそのままへたり込み
自分でもよく分からない感情に支配された
彼に好きと言われ本当は嬉しかった
でも私は幸せになったらだめなの
大切な存在を増やしたら危ないから
『…ぅ、ぁぁーー』
誰もいない公園に私の泣き声だけが響いた