第17章 ー"Infini(アンフィニ)"ー
「大丈夫か?」
食堂からの帰り道
不意にそんな事を聞かれる
『え?何の話?』
「いや…なんとなくなんだけどよ
いつもと違うような気がしたからさ」
『…そう?そんな気のせいだよ♪』
"そうか"と言ってそれ以上は
何も聞いてこない彼が今は有難い
あの日ホークスに会ってから
最後の言葉が気になって仕方なかった
"京極椿紗…職場体験でまた会おう"
(…何故会ったこともない彼が知ってたの…)
両親と暮らしてた頃の苗字である京極ーー
初対面の彼が知るはずのないものを知ってた
彼は私のことをどこまで知ってるー?
いつの間にか考え込んでたとこで
肩にポンっと彼の手が乗っかる
「何かあったらいつでも相談しろよ?
話聞くぐらいなら俺でも出来るし」
『ありがとう…切島君』
「あ〜…てかよ、そのなんだ
…その爆豪みたいに
俺の事も呼び捨てでいいよ」
『えっと…鋭児郎?』
そう呼ぶと嬉しそうに笑う彼の笑顔に
モヤモヤとしていた気分が少し晴れた
悩んでも仕方ない
職場体験に行けば全てわかる事だーー