第4章 希望は頑丈な杖
瑞稀は美和を普通に可愛い女だと思った。
ショートカットにスレンダーな体型で、小動物のような魅力がある。
それに反してふっくらとした唇。
「入って」
「……んっ?」
ドアを開けた瞬間、美和の唇が瑞稀に合わさった。
バタンと閉められたドアに押し付けられ、彼女の腕が瑞稀の首を巻き付ける。
なんだ、これ……
最後にキスをしたのは何年前か覚えてないが、瑞稀はそれとは違う奇妙な快楽を覚えていた。
まるで子供が菓子を食うような甘い感覚。
瑞稀は知らず美和の腰に手を回し彼女の口を貪っていた。
「ん、んっ…ふ、ん、ぁ、」
美和の表情は蕩けて身体は細かく震えているようだった。
唇越しに睡液を吸い、歯茎や彼女の舌を舐め上げそれらを味わう。
──というか、これはヤバいかも知れない。
瑞稀は彼女の身体を離した。
「ごめん、俺、無理」
「……お願い」
「悪いけど」
「違うの」
「え?」
「あたし、こんな気持ち初めてで」
見ると彼女が真っ赤な顔をして彼にしがみついている。
「お願いだから」
瑞稀は今まで女に言い寄られても、こんなあからさまな発情期の動物みたいなのは見た事が無かった。
初めて見る自分と相手の反応。