第14章 余章 ―― 夜話
「高雄、私がもし他の人と遊び歩いてるとか聞いたらどう思う?」
港のデートスポットのような所をブラブラ歩きながら私は聞いてみた。
「よくわかんないけど、そりゃ嫌だよ」
「…なんで?」
「そういうつもりならこんな面倒なことしない、俺」
「面倒…」
「とっくに遥の事襲ってると思う」
高雄は後ろから私の腰に手を回して抱き締めた。
「…それともそうして欲しいの?」
耳元に息が当たる。
どきどきする。
「わ、…たしは高雄のなの?」
「…いや」
高雄は私の身体を離して言った。
「最初に言ったけど遥が俺を選ぼうがそうしまいが自由だ。 単なる俺の願望」
ふうん。
「高雄って大人だね」
「なんだそれ」
「いいよ、高雄」
「ん?」
「襲っていいよ」
高雄は首を傾げて私を見た。
「それってもう終わりにしたいって事?」
「え? そうなの?」
「はは。 遥って迂闊だな」
高雄は俯いていて表情が見えなかった。
「…分かった」
高雄は私を街外れの小さなコテージに連れて行った。
大きなマンションの一室のようなそこは、明かりがついていて部屋は温まっていた。
「…ここはホテルかなにか?」
「うちで管理してるとこ」
「遥」
「なに?」
「遥 …出来ればこうなりたくなかった」
「?高…」
高雄の唇が重なる。
ゆっくりと咀嚼するように私の口を味わう。
「…高雄? 震えてる」
「…あ……?」
そこから先はよく覚えていない。
遠くに高雄の声。
『……俺には分からない』
覆い被さる男の身体と
肌を這う手のひらや指先、
皮膚の感覚、
汗、
睡液、
吐息。
身体の奥の衝撃、
揺さぶられる、
叫び声、
食い込む何か、
血の色、
甘い。
痛み。
目眩。
それ以上の快楽。
気を失いそうな恍惚感。
まるでこの世の全てのような終わりのような