第14章 余章 ―― 夜話
それから私は週に二度、夜を高雄と過ごすようになった。
高雄は軽いスキンシップは欠かさなかったが私と他に何をする訳でもなく、飲みに行ったり映画に行ったり買い物に付き合ったりと、ごく普通の恋人達のように過ごした。
夜の噴水でぼーっとして座って待ってると「寒かった?」と言ってほっぺたに温かいカフェオレを押し付けてきた。
「ううん」
なんでかな。
高雄といると、待ってる時も寒くない。
「じきクリスマスだし、どこか旨いものでも食いに行く?」
「あー、じゃ焼き鳥でも行こう」
「なんで焼き鳥」
「クリスマスに鳥を食べるのは伝統」
「いや焼き鳥はないから」
結局ハイボールにつくねとか食べながら、高雄が「クリスマスプレゼント」といってなにかキラキラしたネックレスをプレゼントしてくれた。
後から人に車何台分の値段がすると聞き、返す返さないで高雄と喧嘩して、泣きそうになってる私のおでこにキスをした。
二人で街を歩いていて花屋で白い綺麗な花を見付けた。
甘い香り。
華奢な花弁と葉っぱと細い茎。
ついじっと見入ってしまった。
「遥によく似合う」
「あんなのは私の柄じゃない」
次に会った時に、高雄は腕いっぱいにそれを抱えて遥を驚かせた。
「世界中のこの花を遥に」
「高雄、いくら男前だからって気障超えていっそ笑えるわ」
「ありがとう」
「褒めてない」
花束越しに抱き合った。
たまに高雄の電話に連絡が入る時があり、そういう時は高雄は厳しい顔をしながら私に悪い、と手で合図をし外に出て話をしていた。
仕事なのかな。
それとも他に何か?
普段私には見せない顔。