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Mirror【R18】

第14章 余章 ―― 夜話


「じゃ、いいよ。 人生勉強の一環として」
「人生って…まあ、勉強になればいいね」

高雄はくく、と笑う。
なんかおかしいのかな。
高雄って歳いくつなんだろ。
私より6、7位上?
でも店の客よりやたら落ち着いてるけど。

「てか、何で私なの?」
「男が女を好きになるのに理由が要る?」
「やりたいから」
「ぶっ、」

私の言葉に高雄はむせた。
だってうちに来る客とか、もれなくそうだし。

「違うの?」
「違わない、けど俺は昨日言った『面倒なこと』を遥としたい」
「??」

高雄はテーブルの上に手を組んで顎を乗せて私を見詰める。
…あんまりジロジロ見られるの、慣れてないんですけど。

「そんなに見ないでくれる?」
「慣れてるでしょ、遥、接客とかしてるんだから」
「私はあそこでは店員であって人間じゃないから」

「じゃ女として見られる気分はどう?」
「気色悪いね」

「なんで?」
「そりゃそうでしょ、私みたいに男みたいな女」

「どこが?」
「背も高いし」
「俺の方がずっと高い」

「言葉使いも悪いし」
「だれに対しても率直であれと偉人も言っている」

「格好もこんなだし」
「スタイルがいいから何でも似合うよ」

「化粧っ気も無いし」
「しなくても充分可愛い」

「そんなこと言われた事ないよ」
「遥は綺麗だよ」

「……面倒なことって、こういうの?」
「はは、よくわかったな」

苦々しい表情の私を見て高雄は楽しそうに笑った。


「今日は楽しかった。 じゃ、また…木曜は?」
「いいよ」

高雄は自然な調子で私の肩を抱いて頬に口付け、手を振って帰っていった。

「……」

そういや私、人からキスされた事ってないや。
そうされて嫌悪感は無かった。

高雄の引き締まった唇の形を思い出す。

今度試してみるのもいいかもな。


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