第14章 余章 ―― 夜話
瑞稀さんと昔関係があったと聞いていた美和さんと再会したのは、彼女が暴漢におそわ…もとい襲っていた所だった。
遠目でいかにもな男が周りを気にしながら彼女に近付いた時、彼女は振り向くとバッグを回転させて男の頭を殴り、蹴りを入れた。
助けに入ろうと思い呆気に取られていた僕に気付いた彼女は、何年ぶりかに一度会っただけの僕が誰だか分かったようだ。
「あれ、あなた確か、瑞稀くんの?」
咄嗟に逃げようとしたがオロオロしてるうちに捕まってしまった。
そしてその日のうちに男女の関係を持った。
ややこしそうな事には首を突っ込みたくなかったんだけど。
むしろ僕の方が彼女をしっかり覚えてた位だし、確かに魅力的な人だ。
でもなんというか……逞しすぎる。
「あたしみたいな見掛けの女は舐められるからねえ」
そういって何でも人一倍バリバリこなす。
初日のアレを聞くと、護身術を習っていたらしい。
でも、護身術ってあんなんだっけ?
とはいえあの反射神経といいバランスといい、運動神経が余程良いのだろう。
職業はエンジニアだと言う。
勿体無い話だ。
そして、ベッドでは甘くいやらしい彼女。
これを断るのは正直キツい。