第14章 余章 ―― 夜話
あの人。
自然な感じで瑞稀さんに触れてた。
瑞稀さんも微笑んでて。
大きな瞳の、可愛くて明るい人だった。
瑞稀さんが気を許す女の人がいるんだ。
『相性は瑞稀くんとが一番良かった』
寝ただけって、相性って……
澤子は家に戻ってガチャガチャと鍵を開けた。
手が震えてなかなか上手く開けられない。
私だけだと思ってた。
でもあの人、私の知らない瑞稀さんを知ってる。
手にぽたぽたと雫がこぼれる。
私、何でそんな事思ってたんだろう?
澤子はベッドに俯せになって泣いた。
瑞稀さんは別に悪くない。
でも、どうすればいいんだろう?