第13章 Mirror
澤子が退院した後、日を置かずに産着やら玩具やら花やら子守りやら召使いやら運転手やらが瑞稀の元に送り込まれた。
勿論高雄本人も時間が空く限り一樹の様子を見に来る。
「少しは澤子を休ませろ」
「何だ、私はただ澤子さんを手伝おうと」
「親父は家の事なんて何も出来ないだろう。 おい、一樹にも触るな、子供の首を折る気かあんたは」
瑞稀の怒号が隣家の逸巳の所まで響く。
実の親に凄い言い草だ。
……分からないでもないが。
一樹の子守りをしている時に何度か恐怖を味わった。
「……瑞稀さん、なにかが窓辺でウロウロしてる気配がするけど」
「気にしたら負けだ」
一樹は成長するにつれ、その聡明さを現していった。
言葉を話すのも何かを理解するのも他の子供より抜きん出ていた。
目元が瑞稀に、鼻と口は澤子に似ている。
大きくなったら父親や祖父に似て女泣かせになるだろう。