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Mirror【R18】

第12章 春へ


高雄は逸巳に向き直って言った。

「逸巳君、うちを継がないか?」
「は?」
「え?」
「ん?」

高雄の突然のヘッドハンティング、……実質養子入りに逸巳、澤子、瑞稀の三人はぽかんとした。

「まだ大学を卒業したばかりだそうだね。 数年は関連の企業で勉強してもらう。 その後私の下に付きなさい。 その間いくつか経営しながらやっていくといい」

「……瑞稀さんの決断力は父親譲りなんですね」
「そこ?」
「で、でも逸巳はもう就職をしていて」
「辞めれば問題無い」

「はあ……でも何でまた、僕なんですか?」
「勘だ」

逸巳は瑞稀と澤子を見た。
二人共、なんとも言えない複雑な表情をしている。

逸巳は『小田家』の事を知らない。
この優しい男が果たしてここでやっていけるのか。

「よく分かりませんが、僕でいいならよろしくお願いします」
「逸巳?」
「おい」

「ハッハハハ、よろしい」

高雄は愉快そうに笑い、瑞稀と澤子は逸巳の即決の承諾に驚いた。

「まあ……」
「まじかよ」





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