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Mirror【R18】

第11章 感情は航海の帆を張る


「……ここに、瑞稀さんが居るって聞いて」

……奴も何を考えてるんだ。

「?瑞稀さん……」

「ここは親父の食事場だ」

食事……?
澤子は改めて周りを見渡した。

赤黒い………おびただしい、あれは、血?

「う………」

澤子は口許を抑えた。

そういえば、何か匂いがする。
肉屋のような、チーズのような。
よく見ると大きなソファには引っ掻いたような跡がいくつも。

「親父は月に一度ここで女を抱いて『食事』をする。 ただやるだけの時もあるらしいが」
「……瑞稀さん、も?」

「いや、……だが、うちでは昔からそういうのが当たり前だった。 あの親の血が流れている俺も大して変わりはない。
とにかく、出よう。 ここは普通の人間がいる所じゃない」

瑞稀が手を伸ばすと、澤子は後ずさってそれを避けた。
そんな澤子の様子に瑞稀が苦笑する。

「怖い?」

「……怖くない。 私は話をしに来たの」

部屋の異様さと匂いに吐き気がしたが、澤子はぐっとそれを堪える。





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