第11章 感情は航海の帆を張る
「瑞稀様、お客様でございます」
「……誰とも会う気は無い」
生気のない瑞稀の声。
「地下の部屋に崎元澤子様をお通ししました」
「………は?」
瑞稀がドアを開ける。
「なんて言った?」
「……私の勝手な行動でございます。 お叱りならあとで如何様にも」
「なんで澤子が?」
「訪ねて来られました故」
「だからなんで、よりによってあそこに……」
「……………………」
ワズは答えない。
「………っ」
「……鍵を」
こいつの相手をしてる暇は無い。
瑞稀はワズから鍵を奪い取って地下に走った。
大きな足音が近づいて来、ガチャガチャという音ともにドアが大きく開いた。
「澤子……」
「瑞稀さん……?」
「なんで、ここに居る?」
「あ……」
「答えろ」
瑞稀の今まで聞いたことの無い強い口調に澤子は怯んだ。