第51章 「大切なものは」
山本は去ろうとした
真由「でも…!今何かあったら…」
山本「何かあったら何だってんだ!!俺も…君も譲くんも!!コヨミって子を甦らせるための道具にされたんだぞ…!?」
真由「道具…?」
真由は指輪を見た
山本「もう…余計なことには巻き込まないでくれ…!!」
山本は行ってしまった
―――笛木宅―――
笛木は机の上にある書類を漁っていた
はまだ眠ったままだった
コヨミ「いつまでこんなこと続けるの…?」
笛木「…その体にコヨミの心を呼び戻すまでだ」
コヨミ「もうやめよう…?……お父さん…」
《私のために無理はしないでね…?》
笛木「!!」
生きていた頃のコヨミと今のコヨミが重なって見えた
笛木「…ダメだ。私は約束したんだ…コヨミと…」
コヨミ《私のために…無理はしないでね…?》
笛木《私は大丈夫だ…。コヨミのことは…必ずお父さんが救ってみせる…》
コヨミ《ありがとう…お父さん…》
笛木「私は絶対に諦めない…」
そんな笛木の背中を悲しそうに見つめるコヨミだった
―――――
仁藤は壊れたベルトを見ていた
譲「ホントに…もう魔法は使えないの…?」
仁藤「あぁ…。すっかり普通の人間に戻っちまった…」
譲「……じゃ、これからは僕が頑張らなきゃ…かな?」
仁藤「は…?」
譲「なりたくてなったわけじゃないけど、攻介兄ちゃんの変わりに僕が魔法使いとして、みんなを守るっていう手も…」
仁藤「何言ってんだ、お前が戦う必要なんかねぇ」
譲「でも…」
仁藤「いいか?お前はお前の大事なことだけ考えろ」
譲「…………」
凛子「もう魔法を使わない…?」
真由「はい…。結局私も一緒だった…ワイズマンを信じて裏切られた…。メデューサも…私も…白い魔法使いの道具でしかなかったんだって…」
凛子「そっか……でも…忘れないで。その指輪は…まやかしの希望で作られたものだったかもしれない。でも…その指輪で…絶望から救われた人もいる」
凛子は自分の中指にある指輪をみた
真由「…………」
―――面影堂―――
輪島「そうか…」
仁藤、瞬平、凛子は面影堂で輪島に全てのことを話した
輪島「真由ちゃんたちもいろいろ辛い思いをしたからなぁ…今はそっとしておいた方がいいだろう…」