第36章 「空の向こう側」
ソラはと千明の腕を掴んで走り出した
『ちょ…!ソラ!!』
ソラはしばらく走って物陰に隠れた
千明「ありがとうございます…二度も助けてもらって…」
ソラ「襲われてる女の子を助けるのは、普通でしょ!」
『(信じていいの…?助かっていたのは嬉しい…でも…私…どうすればいいの…晴人…)』
ソラ「あぁ…素敵な髪がこんなに乱れちゃって…。僕が綺麗にしてあげるよ」
千明「え…?」
ソラ「任せてよ!これでも僕、美容師なんだ♪」
目隠しをされてどこかに連れて行かれた
目隠しは必要ないと言ったが、「秘密の場所だから」と言って目隠しをされた
ソラ「はーい、到着。ようこそ、僕のサロンへ」
2人は目隠しを外された
そこは個室のような部屋で、インテリアや雰囲気にもこだわっているような感じだった
千明「素敵…」
『…………』
ソラ「素敵なのはキミたちの方さ。その白い服いいね。黒髪がすっごく栄えるよ。ちゃんもその服すっごく似合うし…髪もサラサラで…」
千明「これ……死んだお母さんの…形見なんです」
ソラ「形見…?」
千明「この服を見れば…気づいてくれるかもしれない…。お父さんが…」
ソラ「ちゃんはそこのソファーに座っててくれるかな」
『う、うん…』
ソラ「怖がらないで欲しいな♪これ飲んで落ち着いてね」
ソラはに紅茶を渡した
ソラ「紅茶好きでしょ?」
『ありがとう…』
何を考えているのかわからない…
“人間”の心は読み取れるのに…
“ファントム”の心は読み取れない…
『あれ…?』
でもソラは前に言ってた…
「人間の心がある」と
『(だったら…読み取れるんじゃない…?)』
今まで読み取れなかったのは読もうとしなかったから?
でも読み取るには触るか目を合わせないといけない…
『(どうやって…)』
は紅茶を飲んだ
千明「お父さん…お母さんが大好きだったから…お母さんが死んじゃったとき…すっかり元気をなくしちゃって…。私を置いて…いなくなっちゃったんです…」
ソラ「似たような思い出…僕もあるよ…」
千明「え…?」
ソラ「キミが捨てられたように…僕も捨てられたんだ。…大切な人にね…」
『…!!』
ジャキンッ…!