• テキストサイズ

イカロスの翼【ヒロアカ】

第12章 それぞれの個性




そして、数分後。
体操着に着替えた1年A組の生徒たちは、体育館γへと集合した。


「あの…マジすか」
「マジだよね!」
「ミリオ…やめた方がいい。皆が皆上昇志向に満ち満ちているわけじゃない」


立ち直れなくなる子が出てはいけない。
壁に額を押しつけて、集団から外れた遠い位置からそう呟く天喰の声を聞き、芦戸の触角をいじっていた波動が賛同した。


「あ、聞いて知ってる!昔挫折しちゃってヒーロー諦めちゃって問題起こしちゃった子がいたんだよ、知ってた!?大変だよねぇ通形ちゃんと考えないと。辛いよ、これは辛いよー」
「待ってください。我々はハンデありとはいえ、プロとも戦っている」


最初に食ってかかったのは常闇だ。
先輩方のあからさまな「みくびり」発言に、やる気に満ちていた切島も、顔をしかめて、不満を口にした。


「そんな心配されるほど、俺ら、ザコに見えますか…?」
「うん」


さらっと肯定した通形の言葉を聞き、数名の生徒たちがムッとした。
いつどっから来てもいいよね、と前置きした通形は、固まって立っているクラスメイトたち全員に声をかけた。


「さぁ、一番手は誰だ!?」
「おれ「僕、行きます…!」意外な緑谷!?」
「問題児!!いいね君やっぱり元気があるなぁ!」


バチリという音を立てて、緑谷の体が光り、軋む音がした。
先陣を切るのは緑谷。
加勢するように、クラス全員が身構える。


「よっしゃ先輩、そいじゃあご指導ぉー」


よろしく、お願いしまーーっす!!という掛け声を合図に、通形目掛け、攻撃が放たれる。
なぜか身が引き締まるはずのそのタイミングで、遠形は。
はらり、と自分の服を全て「落とした」。
絶叫する耳郎の声を聞き、自身の身体に起こったハプニングを察知した遠形が、いそいそとジャージを履き直す。


「ああ失礼!調整が難しくてね!」


即ノックダウンを狙い、緑谷が隙だらけの彼の頭を蹴り抜いた。
その攻撃は確実に遠形の頭の位置を捉えたはずだった。
しかし、彼はそれを避けるどころか、棒立ちの状態で身体を「透過」させることで、緑谷の攻撃をすり抜けた。


「顔面かよ」


と呟いた遠形の目の前。
集団の後方に立っていたように見えたが、距離を一気に詰めてきた。

/ 366ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp