第7章 エンデヴァーの息子さん
出逢ったばかりの頃から、俺とは、一緒の時間を過ごすことが多かった。
暦は9月、夏も終盤。
第1学年とはいえこの時期になれば、クラス内での交友関係、仲良しグループというものは既に出来上がっている。
そんな時期に飛び込んできたと、決まったグループに属していない俺が、「よく一緒にいる」仲になるまで、さほど時間はかからなかった。
はなぜか、俺を見かけると、意味もなく傍へ寄ってきてくれる。
なぜなのか、理由はわからなかった。
初めて出逢った日。
彼女の足が腫れた時。
保冷剤代わりの氷で手当てしたからだろうか。
それとも好きでリフォームした自室の内装が、の中の評価を上げたのだろうか。
何を話すわけでもない。
大笑いするような話もない。
けれど。
と一緒にいると、俺は気分が弾んだ。
まるで、緑谷と飯田、麗日の三人組のように。
気づけば、よく一緒にいる。
そんな友達になれたと思った。
嬉しかった。
「…、何で食事の時、いつも俺の近くに来るんだ」
つい、昨日の夕食時。
本当は理由なんてどうでもよかった。
けど、興味本位で聞いてみたことがある。
自分じゃ思い当たる節がなさ過ぎて、不思議に思っていたことなのに。
その癖、期待するような心持ちで問いかけた。
すると、は。
一瞬だけ大きな瞳を丸くして、それから。
表情を変えずに呟いた。
『……キミが…』
『…エンデヴァーの息子だから』
いつも通り、黙々と食事を続けると向かい合って。
俺は一言だけ反応を返した。
「…そうか」
あぁ、そうだったのかと。
皮肉にも、腑に落ちてしまったから。
その時も、今も変わらず。
失意の底に落ち込んではいるものの、を責めるような気持ちは、カケラも湧いてはこない。