第49章 選んだ道
「ーーー、好きだ、大好きだ」
好きになってくれて、ありがとう。
なぜか泣きそうになって、彼が言う。
は優しく焦凍の身体を抱きしめて。
言葉を返した。
『私も。焦凍くんが好き。好きになってくれて、ありがとう』
一度目の人生。
敵に無惨に殺された。
二度目の人生。
ヒーローを信じて殺された。
無意味な人生の繰り返し。
三度目の人生も。
自分らしくは生きられない。
けれど、キミが隣にいてくれる。
それだけで。
生きていてよかったと思う。
次の桜が散る頃に、みんなが笑っていられる様に。
歩きづらいこの道を、キミは選んだ。
「起きてる!!」
「ー!!めちゃ大人になってる!!」
「ケロ、大人なちゃんも素敵だわ」
「それは同感!!激しく同意!!」
「ギャンかわ」
「とりあえず無事でよかったよ!」
おはよう、おやすみ、また明日。
他愛無い「普通」の日々を過ごした学生寮を、程なくしてキミは旅立った。
未だ混乱したままのこの国の情勢。
ヒーローがふるいにかけられた。
敵だけではなく、世間とも戦わなくてはいけなくなった。
全てが変わってしまった。
被害を抑えられなかった、全ての責任がヒーロー達にのしかかる。
激戦の末、療養のため、しばらくの間担任不在となった1年A組の教壇にも。
変化が訪れた。
遠隔のモニターを通じて、担任の相澤は紹介した。
圧倒的に不足している情報量だけの紹介を。
「俺が戻るまでの間、クラスを見てもらうことになった」
キミは言った。
『副担任のです。宜しくね』