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イカロスの翼【ヒロアカ】

第48章 原点




一人、また一人。
死柄木と戦うプロヒーローが倒れていく。


「グラントリノォ!!!」
「先生ぇ!!!」


神経を研ぎ澄ませ。
死柄木との戦闘に飛び込んだ。
一人でも多く命を救う。
それだけを考えて、戦っていた。


「守った先に何がある?必死に先送りしても、待ってるのは破滅だけ」


死柄木が、楽しそうに楽しそうに笑う。
目の前で起こっていることなのに。
なぜか。
全ての音が遠い。


「ーート、ショート!!」
「……リューキュウたちを助けてて遅れた。体冷やせ、気休め程度にはなるだろ」


音が、聞こえない。
ずっと、夢の中にいるみたいだ。
ずっと醒めない悪夢に置き去りにされている。
夢ならはやく、目覚めてくれよ。
はやく、あいつに会わせてくれ。
はやく、話をさせてくれ。


















相澤が倒れ、防戦一方となる戦況。
相澤の処置に入るロックロックが、緑谷の肩を掴んだ。


「逃げろ…!」
「嫌です!!」


怒りで涙が止まらない緑谷が、死柄木を睨み続ける。
死柄木はそんな様子を愉快そうに眺めて、笑い、笑いーーー
バキャ、と。
身体を真っ二つに裂いた。


「…………あ?」


死柄木の意図とは関係ないところでの、身体の裂傷。
死柄木が困惑しているのを見て、緑谷が思い至り、駆け出した。


「……今、何月何日だ?」
「身体が……大きすぎる力に、身体が間に合っていないんだ!!」
「触れりゃ終わりだ!!」
「空で」


緑谷が黒鞭を発現させ、死柄木と宙に舞い上がった。


「おまえを止める。僕の出来る、全てをかけて」
「空が好きならOFA奪った後天国にでも送ってやるぜ!!下のジジイ共も同伴でな!!」
「これ以上皆を!!傷つけるな!!!」


繰り返される、緑谷のワン・フォー・オール100%の拳と、蹴りが死柄木に叩き込まれる。
彼の手足が回数を重ねるごとに赤黒く変色し、歪な形に曲がっていく。
ワン・フォー・オールは、オール・フォー・ワンを倒すため受け継がれた力だ。
緑谷はこの時に、全てをかけていた。







(ーーーここで止められなきゃ)












なんのために、力を受け継いだのかわからない。
全てを、出し切れ。










「僕が、どうなろうとも!!!」






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