第6章 他校生とのお付き合い
が通過者用案内アナウンスを聞いた直後。
傑物学園高校の生徒が個性で地面を裂き、強引に雄英生たちを分断した。
上空に飛び上がることで被害を免れたは、フィールド全体を俯瞰しながら、ぼんやりと、この先のことを考えていた。
するとそれを察知したかのように、ピピッという機械音がターゲットから鳴り、続いて試験の進行役を務めている目良の声が、そこから聞こえてきた。
<さん、アナウンスした後に脱落者出したらダメですよ。クレーム対応しなきゃいけなくなっちゃうから。通過者は通過者用待機室へどうぞ>
甘いケーキとかしょっぱいお菓子とか置いてるよ、という言葉を最後に、目良からの通信は途絶えた。
は白い炎の翼をはためかせながら、うーん、と小さく唸り。
そして、はっきりと感じている居心地の悪さに、気づかないふりをすると決めた。
(……ケーキ)
どこにいても。
(前の時はなかった。食べに行こう)
何をしていても。
いつも見張られているかのような閉塞感を感じずにはいられない。
「やったぁ!もしかして二番目の通過者っスか!?」
が控え室へ到着すると、既に見覚えのある男子生徒がそこにいた。
「お互い熱い戦いだったっスね!!二次試験も頑張りましょうね!!!」
一度に100名以上の脱落者を出す攻撃を放ち、見事一次試験を通過した夜嵐イナサ。
彼は、通過者用控え室の奥に設置されているカードキーを使って、ターゲットを取り外している最中だったらしい。
目敏いのか、遠い遠い入り口から静かに入ってきたの存在に反応し、声をかけてきた。
人としての輪郭は見えるものの、顔の詳細までは判別できないその距離で、夜嵐はに向かって、ブンブンと親しげに腕を振る。
フレンドリーオールオッケー!と全身で表しているかのような彼の態度。
は少しだけ警戒を解いて、トトトッと夜嵐の方へ駆け寄った。