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イカロスの翼【ヒロアカ】

第5章 可愛い、超可愛い




「ねぇねぇ、あれ雄英のーー」
「あんな子テレビに出てたっけ?」


ヒーロー仮免許取得試験、当日、早朝。
1年A組の生徒達は、今年9月の試験会場である、国立多古場競技場前に到着した。
雄英体育祭が全国放送されていたせいか、1年A組を見る周囲の視線はやたら熱を帯びており、注目の的となっている生徒達はそれぞれ、緊張感を顔に滲ませていた。


「っしゃあ、なってやろうぜヒヨッ子によォ!」
「いつもの一発決めていこうぜ!!Plusーー」


「Ultraaaaaa!!!!」


みんなを元気付けようと、円陣を組もうとした切島と上鳴の背後。
あわや、騒音被害とも呼べる声量で、一人の男子が円陣に加わってきた。


「勝手に他所様の円陣に加わるのは良くないよイナサ」
「あぁっしまった!!」


①どうも
②大変
③失礼
④いたしましたァア!!!

と、段階を踏んで、①肩幅に足を開き②背を大きく反り③頭を地面に向かって振り下ろし④脳天を地面に突き刺した彼は、「プラスウルトラ言ってみたかった」「雄英大好き」「皆さんと競えるなんて光栄の極み」とまで言ってくるものの、一切、自分の名前を名乗ろうとはしない。


「あ、血」
「血スか!?平気っス、好きっス血」
「私も血ィ好き」
「ケミィさんも!奇遇っスね!」
「気色悪い会話を続けるな痴れ者共め。はやく行くぞ」


夜嵐イナサ。
相澤が、脳天から血を流し続けている男をそう呼んだ。
彼は昨年度の推薦入試で、トップだったにも関わらず、入学を辞退したという。
そんなよくわからない人となりを聞き、が『夜嵐…』と呟いて、じっと彼を見つめた。


「ん!?呼んだっスか!?」


耳聡いのか、彼はグルンと激しい所作で振り返り、の方へと歩いてこようとして、ビダッ!と急に足を止めた。
ガッツリと目が合っていると夜嵐。
笑みを絶やさなかった夜嵐は、急に真顔になって、に背を向け、駆け足で先輩方の方へと戻っていった。


「…なんだ、アイツ」
『…うーん…なんでしょう』


怪訝な表情を浮かべる轟の方を見て、も首を傾げた。

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