第33章 ティータイムの後で
ちょっとロープ買いに行ってくる!と、緑谷が旅立ち早1時間。
体育館で開始1時間前のスタンバイをしている間も、彼が戻ってこない。
クラスメイト達がそわそわとさせられていると、ライブスタートの5分前になって。
ついに舞台上に彼が帰ってきた。
「緑谷おっそい!」
「ヒヤヒヤさせんなー」
「みんなごめん!」
八百万特製のインカムに、緑谷の声が乗る。
〈遅れてごめん!戻りました!〉
「あっぶねギリギリ!」
「ロープのために緑谷欠けてちゃ、申し訳ないもんな!」
演出隊の切島がその声を聞き、胸を撫で下ろす。
『すごい人』
が体育館を埋め尽くしている人混みを見下ろし、呟いた。
轟がそんな彼女の横顔に視線をやり、同じように体育館のスポットライト席から階下を見下ろした。
「…そうだな」
「開幕爆発、ツカミはド派手に!」
そして、雄英文化祭、1年A組のライブが始まった。
「よろしくおねがいしまァス!!!!」
ドォン!!!という盛大な爆破音と閃光。
会場に鳴り響くスタートコールを打ったのはだ。
体育館を熱風が駆け抜け、観客の視線がステージ上に釘付けになる。
爆豪のプロ顔負けのドラムが先導し、Aバンドのメンバーが追いかける。
わぁっという歓声が体育館に一度沸き、Aメロに合わせて、手拍子が始まった。
は、観客の最前列に、壊理と通形の姿を見つけた。
周りの熱狂に驚きながらも、通形に進められるまま手拍子を始めた壊理。
そんな彼女の目の前に飛び出てきた緑谷と、青山。
二人は息ぴったりのダンスを披露し、青山は軽くステップを踏んだ後、緑谷の個性によって、宙に投げ飛ばされた。
「フンッ⭐︎」
宙で何回転もしながら、青山がネビルレーザーを撃ち放つ。
そのレーザーに合わせ、が小さな小爆発を会場に飛ばす。
「人間花火かよ!」
「サビだ、ここで全員ブッ殺せ!!!」
「よっしゃ今だせろろき!」
爆豪の号令のような怒声と同タイミング。
八百万が腕からクラッカーを放ち、瀬呂と轟が個性を放ち、空中に氷の橋を作り上げた。
ダンス隊が障子によって投げ飛ばされ、ヒーロー科特有の身体能力で氷の花道に降り立った。