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イカロスの翼【ヒロアカ】

第4章 死ぬ気で鍛えろ




「死んだ!エクトプラズム、もう一体頼む!」
「先生ー!これどうですかー!」
「集中!」


体育館の至るところから、衝撃音が鳴り響いている。


「君ノ「プログラム」ハ「一通リ終ワッテイル」ト聞イテイル。私本体ト実戦訓練ニスルカ?」


早々に駆け出していった生徒達の中で一人。
ぽつりとその場に取り残されていたに、エクトプラズム本体が声をかけた。


『あ、私…』
「エクトプラズム、俺がやる。他の生徒達を見ていてくれ」
「イレイザー、大丈夫カ?」
「問題ない。セメントス、区画を区切ってくれ」
「…デハ任セタ」
「わかりました」


セメントスが体育館の一画を高いコンクリの壁で区切り、と相澤を隔離した。
目の前に立つ担任を見上げて、は、バツが悪そうに視線を斜め下へと逸らした。


『あの…だ、大丈夫なんでしょうか』
「大丈夫にならなきゃ困るんだよ。うちには回復キャラの婆さんがいるし、俺に関しては、気にしなくていい。だが、さっきも言ったが、ヒーローは「事件」「事故」「天災」「人災」…あらゆるトラブルから人々を救い出すのが仕事だ。取得試験では、当然その適性を見られることになる」


情報力、機動力、判断力、魅力、戦闘力、コミュニケーション力、統率力。
相澤はゴーグルを着用しながら、ヒーロー適性と呼ばれるいくつもの能力を例に挙げた。
彼は、黄昏時の陽の光を淡く放ち続けているの瞳を眩しそうに目を細めて眺めた後、言葉を続けた。


「6月の仮免試験の評価を見たよ。二次試験終盤まで、君はどの能力においても、他者の能力から突出した「適性」を持っているという高評価を受けていた」


けれど、最後の最後。
君は誤った個性の使い方をした。


『…そ「そんなつもりなかったんだとしても」


相澤は低く腰を落とし、片手の指先で、かかってこいよ、とに指示を出した。


「この一週間で、加減を覚えろ。我を忘れるな。自分に身の危険が迫っても、常に冷静でい続けろ。生まれつき力を持った人間は、責任も背負って生まれついていることを忘れるな」
『…常に、冷静で…』


これからは俺が見ておく。
そう静かに、はっきりと言い切った担任の言葉に、は瞳を震わせ、拳を握りしめ、身構えた。


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