第33章 ティータイムの後で
■月■日(雨)
この前出会った青年、外典くんというらしい。
苗字なのか名前なのかはわからない。
連絡を取り合っていると言葉の端々から分かることだが、彼は実力至上主義らしい。
あのりんごの本に影響されたのも頷ける。
ファンミーティング、和歌山のあたりで定例ミーティングがあるらしい。
早く来いと急かすから、今週は文化祭で難しい、と返答した。
すると、「文化祭ってなんだ」と返答が来た。
私と同じ感覚だ。
もしかしたら友達になれるかもしれない。
■■くんと電話した。
当たり前だけど、忙しくて文化祭には来られないらしい。
誰と見て回るのと聞かれた。
轟くんが一緒にいてくれると答えた。
彼は数秒間黙って、いいね、楽しんで、と軽い返答をくれた。
言葉に少し苛立ちが滲んでいた。
彼は本心を隠すのが本当に下手だと思う。
誰かを欺くことに関しては、彼に負ける気がしない。