第30章 ワクワクさん
早朝。
学園敷地内にある一森林区画へと集合した相澤と、、心操。
今日の補講内容を述べる前に、相澤がに話題を振ってきた。
「個性、前よりは大分制御できているように思えるが、どうなんだ」
『…制御?』
治崎戦、聞くところによると、と相澤は言葉を続ける。
「治崎の身体指一本残すことなく焼却することもできたはずだ。しかし今回、その規模での個性行使はなかった。それに呼応して超爆風も起こらなかった。あれは意図的か?」
そう問いかけられたは、心操と同じ体操着に身を包み、髪をひとまとめに後ろで括って、運動する気満々といった格好でこの場に立っている。
準備運動をしていた身体を一時的に止めると、彼女は直立に戻り、深く考えてから、答えた。
『…意図的ではありません、でした』
「そうか。なら、試しに、あそこら辺の木の一帯を狙って個性使ってみろ」
相澤が指示した区域に彼女が向き直り、数秒も躊躇することなく、個性を使用した。
バン!!という破裂音と発光の後、何本かの木が幹を焼き切られる形で地面に盛大に転がった。
すげ、と心操がその凄惨な現場を目の当たりにし、舞い上がった土埃から自身の目元を庇いながら、声を漏らした。
「何本消滅させる気だった?」
『…10本です。倒れたのも10本。…けど、人に向けなければ、元から使えます』
「なら、その使い方でいい」
『…え?』
「人に向けては使わない。そういう個性だ。13号の様に、個性の使い方を制限する必要がある」
人に使う力じゃないよ、と。
相澤はため息をつき、彼女に教えた。
「治崎のような使い方は本来許されない。爆豪とやりあった仮免講習の戦闘時みたいな使い方も無しだ」
『…コントロールできるようにと先日仰いました』
「だから教えてやってる。、おまえは個性が変容したと言うがな。俺からしてみれば、その個性はおまえに馴染んでいなさすぎる。入学したての緑谷のようだ」
の目が一瞬見開かれる。
何かを言い返そうとしたのか、口を開いた彼女は、結局、何も言わずに口を閉じてしまった。
「何も絶対に使うなってわけじゃない。「人」以外には躊躇わず使っていい。ただ、弱小敵には、おまえが元々カルラを身に纏って浮遊し、格闘技を用いていた戦闘方法を使え」