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イカロスの翼【ヒロアカ】

第21章 足枷




某日、明朝。
まだ朝日が昇って間もない時間帯。
なぜか目が冴えてしまった轟がリビングへと降りてくると、そこでは数人のクラスメートたちが示し合わせたかのように、早めの朝食を摂っている光景が広がっていた。


「あっ轟くん!おはよう」
「…緑谷、おはよう。、おはよう。みんなも」
『おはよう、轟くん。もう目が覚めたの?』
「…なんだかよくわからないが、早く起きた。それよりお前らも早起きすぎやしないか?朝食までもう食べ始めてるなんて。切島、お前に限ってありえねぇだろ」
「ありえねえって、俺どんな評価うけてんの⁉確かに朝起きんのは苦手だけど!」


モリモリと、半ば流し込むように朝食を摂り続ける緑谷、切島、麗日。
少量の朝食を、半ば無理やり口へ押し込んでいるように見える。
そこへ、女子棟のエレベーターからヒーロースーツが入ったケースを両手に抱えた蛙水が現れた。


「あら、轟ちゃん早起きね」
「…みんなしてどこかへ行くのか?」


ソーセージを箸でつまめず、皿から取りこぼしたが返事を返した。


『ちょっとそこまで』
「…ちょっとにしちゃ食いすぎだろ。なんかの任務なんだろうが、無理して食うなよ」


皿から脱走したソーセージとの逃走劇を繰り広げているの隣へと轟が腰かけた。
しばらくその箸先を眺めていた轟だったが、見るに見かねたのか、彼女の手から箸を抜き取り、代わりにソーセージを捕獲した。


「…。」


机の上を盛大に転げまわったソーセージを、彼女の皿に戻して良いものだろうか。
思慮深く考えた結果。
轟はそのソーセージを自身の口へ放りなげた。


「あ、間接キスじゃん」
「えっ」
「なんでそんないじわる言うん切島くん!微笑ましい青春の1ページを!」
「お茶子ちゃんの言う通りね。私、ほっこりしたわ」
「つくづく女子ってイケメンに甘いよな。な!緑谷!」
「なんで僕⁉」
「悪ぃ。何も考えてなかった」


かぁっと赤面する轟を見て、麗日がにんまりと笑う。
対するは、そんな周囲の視線が集まる中、またしてもソーセージの脱走兵を生み出していた。


『大丈夫』
「……。」


轟と、。
二人の視線が交差した。
ケガ、気をつけろよ、と。
彼女の背中の傷を知る彼はそう言った。

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