第2章 端緒
______ザアアアア・・・
ポツ、ポツ・・・
「った・・・ていうか冷たっ。」
顔に滴り落ちる液体を手で拭いながら体を起こす。
頭いたい。
辺りを見渡す。
雨の音。
土のにおい。
真っ暗で、よく見えない・・・が、目を凝らすと・・・頭上にあるもの、あれは・・・橋?
手先を動かすと、ざらざらとしたものと、ちくちくした感触のもの。
それらを掴み、頭上に手を仰ぐ。
土と、短い草。
水の流れる音のするほうに、首を向ける。
・・・川?
直前の出来事を思い出す。
・・・酔って足を滑らせるとか。
惨め。
情けない。
自暴自棄になる。
あー涙出てきた。
・・・あ、自転車は?リュックは?
暗闇の中、手探りで荷物を探す。
あった、リュック。
明かりを求めて、又、時間を確認しようと、スマートフォンの画面を開く。
時間はさほど経過していなかった。
何気なく画面右上に目線をうつすと、
「・・・なんで?」
【圏外】の表示。
・・・スマホ、バグったんか?
酒が入っているからか、特に止めず、
自転車を探す。
あった。
斜面のてっぺん近く、生身とは裏腹に、自転車はわりと序盤で留まっていた。
若干ふらついたが難なくを登り、自転車を回収する。
登りきった先、視界に移ったのは、
「・・・神隠し?」
普段とは違う、見慣れない町並みだった。