第4章 輪虎(りんこ)×幼馴染
ふぅ…
なんだか色々、急展開で頭が追いつかない。
父上から婚姻の儀の話を毎日持ちかけられ、もうヘトヘトだ。
でも、私、本当に輪虎と…
ずっと彼を一方的に恋い焦がれていたと思っていた私は、正直言ってまだ実感がわかないし、輪虎は私を避ける事はしなくなったもののいつも通りなのだ。
きっと今頃、稽古中かなぁ。
稽古場を見に行きたいところではあったが、少し離れた庭にいたため諦めて座り込む。
…眠く、なってきた。
そうして私は、彼がいつも寝床まで運んでくれていたという事実を忘れて意識を手放したんだ。
『……ん』
なにか今、唇に押し当てられていたような…
ゆっくりと目を開けば、そこには、
『!…輪、虎?』
「目が、覚めたかい?」
目と鼻の先には私の愛しい人がいて、クスクスと笑っていたのだ。
なんで…って、私!
「昼寝した君を運ぶのは僕の役目だからね」
『…ち、近い、です』
完全に忘れていた。
庭からここまで、かなり距離があるはずなのに…!
って、なんでこんな状態に?
横向きになっている私の隣に、輪虎もこちら向きで横になっており、少し離れようとすれば、脚は絡められ、腰に回されていた腕に力がこめられて全く動けない。