第4章 輪虎(りんこ)×幼馴染
『はぁ、はぁ、はぁ…』
息を切らしながらも、お屋敷を駆け抜けてある場所へと向かう。
戦が終わったと一報が入り、父上に無理を言って廉頗将軍のお屋敷に連れてきてもらったのだ。
戦が終わった後、ここに来れば彼に会えるから。
彼…輪虎(りんこ)との出会いはもう何年前になるのだろうか。
まだ恋を知らなかった私が、お父様と親交のある廉頗(れんぱ)将軍のお屋敷に来ていた時のこと。
『廉頗将軍!』
「おや?あいつの娘の…華か?…丁度良い。
ちょっとある村で拾ってきた奴がおってな。お前と同じくらいの歳だ。色々教えてやれ」
『??』
今では廉頗将軍に無闇に話しかけたりする事はしないが、当時はなぜか廉頗将軍によく付き纏っていた私は、戦災孤児であった彼に出会ったのだ。
早く、会いたい…
『あれ…ここにいるかと……』
扉の隙間から覗いた室内には彼の様子はなく、それどころか誰も居ない。
いつも、ここで廉頗将軍と四天王と呼ばれる4人が集まっているはずなのに…
「誰だ?…おおっ華か!久しいな!」
『れ、廉頗将軍!?』
いきなり背後から話しかけられてビクッと身体が揺れる。
…将軍、相変わらず大きい。
「立派に成長しよって…あぁ!輪虎ならあっちの部屋だ」
『…!私、行っても、いいですか?』