第1章 嬴政(えいせい)×新人宮女
『ふっ…ぁ、せい…』
耳に入ってくるのは、自分の声か疑ってしまうような甘い声と布の擦れる音のみで。
たまに政を見上げると、少し頬を赤くしてただ微笑んでいるだけ。
私だけ…こんなの恥ずかしすぎる…!
そう政の寝衣をきゅっと掴んで見上げれば、
なぜかフッと笑われ、彼の手が寝衣の中へ差し込まれる。
『やっ…そ、そんなこと…』
「悪いがもう、辞められぬぞ」
そんな…
なんて思ったのもほんの一瞬で、
自分の肌を直に政の手が撫でていき、どうしても甘い声がおさえられない。
時々ふにっと柔らかさを楽しむように揉まれれば、尚更で…。
「綺麗な肌だ」
『せ、政のが…綺麗です、んぁ』
そして気付いた時にはパサッと私の寝衣は寝床に落ちていて、慌てて胸を腕で隠す。
政に、見られてる
その事実が何よりも私の鼓動を速めるのに、政は、
「見せて、くれないか」
なんて真っ直ぐに見つめてくる。
あぁ、もう…政には敵わないよ
どうか少しの間だけ落ち着きたい。
『えっ…と……私、だけです、か』
苦し紛れに言った私のこの言葉が、自分をさらに苦めるなんて知らずに。