第10章 レモンティー同盟【黒尾鉄朗】
「おう。それ持ってやろうか?」
昼休みの廊下。
クラスメイトで生徒会メンバーの女子とすれ違った俺は声を掛けた。
生徒会は行事の準備中のようで、そいつは大きな段ボール箱を抱えていた。
「あ、黒尾、サンキュー。じゃあ生徒会室によろしく!」
残りの箱持ってくる!と言い、俺とは逆方向に走り出す。
俺は、生徒会室の引き戸を開けた。
「あ!ありがとう、ミオ。残りは放課後に……」
そこに居たのは俺を見て固まっている、上半身が下着姿の生徒会長、苗字 名前だった。
「……!!??」
「あ、悪りぃ。苗字」
「きゃあああーっ!!」
***
何秒かして、苗字が恐る恐る生徒会室の戸を開けた。
「お、大きい声出して……ごめんなさい」
「いいよー。ラッキーだったし」
「うっ……!」
彼女は顔を真っ赤にして、まだ段ボール箱を持ったまま廊下に突っ立っている俺を手招きした。
きちんと綺麗に制服を着た苗字を確認してから、実は速まっていた鼓動を抑え、俺は生徒会室に入った。
「失礼しまーす」
俺は段ボール箱を適当な場所に置いた。
「……ミオかと思ったから。本当に、ごめんなさい」
「俺こそ悪かったな。あ、さっきの冗談だからネ」