第4章 先生だって恋します。【澤村大地】
新任教師の私が初めて赴任したのは、烏野高校だ。
最初の1ヶ月程は先輩教師の教育担当者が就き、新人を様々な場面で指導してくれる。
現代文の教師である私の教育担当者は、武田先生だった。
4月も後半に入り、日々の授業には少しだけ慣れてきた頃。
今年から女子バレー部の顧問に就任した私は、運動経験が無いなかで生徒たちをどのようにサポートすれば良いか必死に模索していた。
「苗字先生の参考になる事があれば、と思いまして。あと、男子にも一応顔見せしてください」
ある日、武田先生にこう言われ、顧問を勤める男子バレー部を見学させてもらう事になった。
このバレー部の1人の生徒が、私の人生を大きく変えるとは、この時は思いもしなかった。